地方を中心に、成人式を1月でなく夏、お盆の帰省シーズンなどに執り行うということがずいぶんと浸透してきました。
「そのおかげで成人式に参加することが出来た!」という方も増えているのではないでしょうか。
一生に一度のこと、何を着ようかドキドキワクワクして悩むもの。そんな中、浴衣を着て参加する人も増えているのだと聞きます。
成人式に浴衣で参加してもいいの?
マナーの観点からも一緒に浴衣について考えてみましょう。
※当ブログでは、以下記事も紹介しています。
<成人式が夏、浴衣はOK?>成人式を夏に開催する理由って?
地元から離れていった新成人が、夏休みに帰省する時期に合わせてより参加しやすくなった、という理由がまず一つ。
そして、東北・北陸・北海道など雪の多い地域では1月では雪に覆われ、足元も悪く移動が大変で参加が難しくなることから、夏に開催されるようになった、というのがもう一つの理由です。
懐かしい友達との久々の再会の場、ステキなコンディションで迎えられたら嬉しいですよね。
<成人式が夏、浴衣はOK?>そもそも浴衣って? ちゃんと知りたい!
浴衣とは、その昔、薄いあわせを身にまとって沐浴するために使用された「ゆかたびら」がおおもとであった、と言われています。
それから時とともに部屋着として使用されるように変化し、江戸時代ごろには夜祭や花火大会など夜間の外出着として使用してもよいと考えられるようになりました。
お風呂というごく限られた空間の中での使用から、時を経て夜間の外出着へと受け入れられるようになっていくなんて、時の流れって不思議ですね。
現代では多くの外国人観光客から「日本の民族衣装、YUKATA」として、お土産物として喜ばれています。
浴衣の柄や地色も歴史とともに徐々に変化していて、藍染めなどシンプルなものだけでなく、はっきりした地色に大きな金魚が泳ぐ風流なものから。
大きくてポップな花柄や、レトロとトレンドを絶妙にブレンドして磨き上げられた若い女性をターゲットにした華やかな浴衣ブランドもあります。
このように現代でも浴衣が広く受け入れられている背景には、和装には下着を身に着けないというスタイルが徐々に変化し、浴衣の下にも普段通りに下着を着用してしっかり体をカバーするスタイルが浸透してきたことがあります。
帯も、以前は自分で結ぶのは簡単ではなかったけど、今は初めから結び目がついたデザインの一本帯がかなり主流となりつつあります。
これでかなり気軽に浴衣を着ることが出来るようになったと、私は思います。
自分で着られると、楽しいですよね。裾の丈の微妙な調整も自分好みにこだわれちゃいます。
また、現代の男性に目を向けてみると、代表的なところでは、相撲界では浴衣を配る、歌舞伎界ではお稽古時に着用するなど、大切な場面に使用されていることがわかります。
日本では、女性のみなず男性にも、しっかり浸透している文化ですね。
<成人式が夏、浴衣はOK?>マナー上どうなの?
私も初めてこれを聞いた時は驚きました。「浴衣=お祭り」という印象が強かったからです。
正直なところ、真夏に晴れ着はしんどいですよね。
現実的なところ、厳格に「こういう時はよく、こういう時はダメ」っていう浴衣着用に決まりは存在しません。
和装の歴史を大切に思う方は、昼間には使用してはいけない、と主張しますので、そうした親に育てられた方は、成人式での浴衣着用は避けるでしょう。
一方、新しい習慣を取り入れていこうとする親であれば、積極的に浴衣での出席を、子供に勧めるでしょう。
ただ、私が色々と調べたところ、カジュアルすぎる柄は成人式のようなお席にはふさわしくないかな、という感じがします。
夏祭りに着たあの浴衣、というわけにはいかないです。さすがに現代でも。
確かなことは、しっかりとした立ち居振る舞いを意識することが大切だということ。
例えば。
お食事の際には、袖のたもとを意識して利き手の反対の手をそっと添えてから伸ばして。
お手洗いの時には、裾や帯に乱れがないか注意して。
車の乗り降りの際には、お尻で横座りに乗り込んでから両足をそろえて身体の向きを変える。
いつもは何気なくこなしてしまう仕草にも意識を巡らして動いてみるだけで印象は大きく変化するもの。
本当に大事なのは、浴衣が良いか悪いかではなくて、大人としての所作や立ち居振る舞いを親から子へ、伝えていくこと。
成人式は、そういうことをさり気なく伝える機会なのです。
まとめ
成人式が夏の場合に浴衣を使用することについて、ざっくりとまとめると、
・雪の多い地域では、1月より夏の成人式の方が参加しやすい
・浴衣は「お風呂着・部屋着・夜間の外出着」の歴史を持っている
・成人式に浴衣がNGという明確な決まりはない
・不快感を与えない、カジュアルすぎないといった最低限のマナーは意識する
・大事なのは、大人としての所作や立ち居振る舞いを親から子へ、伝えていくこと
あいまいな部分がまだまだ多いですが、浴衣を日中に着用することに疑問や不安を感じる人がいることもまた事実です。
全ての方に受け入れられるのは難しいかもしれませんが、美しく着こなしてほしいなと思います。
そしてこれが「私も浴衣を着てみようかな」とか「自分で浴衣を着られるようになってみようかな」って、和の文化に目を向けるきっかけになったら良いですね。