最近の結婚式の参列者で、着物を着ている人はあまり多くないですよね。
私も結婚するときに実家から嫁入り道具で着物を何着か持たせてもらいましたが、友人の結婚式に一度だけ着ていったことがあるだけです。
結婚式に着ていく着物と言えば、留袖ですが、留袖を着る際に必要な末広(すえひろ)をご存知ですか?
普段に着る訪問着などを着る際には必要が無いので、意外と知らない方が多いようです。
今回は、そんな意外と知らない「末広」の基礎知識と式場でのマナーをお伝えしますね。
またどんな着物を着ていけばいいか「着物の選び方」も一緒にお伝えします。
※当ブログでは、以下記事も紹介しています。
<扇子は必要?結婚式のマナー>末広とは
地紙が骨の両面に貼られた扇のことで「祝儀扇(しゅうぎせん)」とも呼ばれます。祝儀の席であいさつを交わす時に使います。
和室であれば、正座した膝の前に置き、洋室であれば、手に持ちます。(披露宴のお出迎えの時など)
また、ご祝儀を先方に渡す時に開いた末広の上に乗せて渡しする方もいます。開いた形が、その名の通り、「末広がり」の形をしており、おめでたい気持ちを表します。
女性用は漆塗りが一般的で、両面に金銀の紙が貼られています。
男性用は竹骨の白い扇です。
【末広の正しい挿し方】
ポイントは4つ
1. 開く方を上にして
2. 自分から見て左側
3. 挿し込む場所は、帯と帯揚げの間
4. 帯から出しすぎない
以上の4つをしっかり守りましょう。
【末広の持ち方】
式の間はほぼ挿したままで、披露宴の立礼の時に手に持ちます。
美しく見える持ち方は
1. 帯の前で
2. 右手で根元を持つ
3. 外側の塗りの部分に人差し指を添わせるように伸ばし
4. 残りの4本の指で胴を包み込むように軽く囲む
5. 左手は末広の下から軽く添える
さりげなくこのしぐさができると素敵ですね。
【これだけはやってはダメ!】
末広は、儀礼の際に必要なもので、実用性があるものではありません。
暑いからといって、ばたばたと仰ぐのはマナー違反、NG行為です。
次章では、結婚式にどんな着物を選べばいいのかをご紹介します。
<扇子は必要?結婚式のマナー>結婚式には「留袖」を
留袖は、着物の中で最も格が高いと言われ、第一礼装となります。
洋装でのイブニングドレスと同じ第一礼装ですが、イブニングドレスのように、時間の制限がなく、昼夜どちらでも使うことができます。
胸の部分には柄はなく、裾に柄が入っています。
また、裾に書かれた模様は絵羽模様と呼ばれ、縫い目をまたいで一枚の絵になるように見えます。
裾の部分の柄は、年齢などで選びます。柄の位置が低いほど年配向けとなります。
<扇子は必要?結婚式のマナー>黒留袖
両胸と両肩、背中の五カ所に紋が付き、地色が黒の留袖の事を「黒留袖」と言います。
既婚女性の第一礼装で、結婚式や披露宴の時に、新郎新婦の母親や親せきが正装として着用します。
決まりとしては、染め抜きの五つの家紋を入れて、白の比翼仕立てにします。
比翼仕立てとは、襟や袖口などに重ね着をしたように見せる生地がついた仕立て方法の事で、「お祝い事が重なりますように」という意味があります。
また、帯や帯締め、帯揚げ、草履やバッグなどの小物は、金銀白のものを合わせます。
末広も必需です。
<扇子は必要?結婚式のマナー>色留袖
地色が黒以外のものを「色留袖」と呼びます。
親族以外の既婚女性やある程度年齢のいった未婚女性の礼装用です。
結婚式や披露宴、パーティーなどでも着用できます。
親族でも黒留袖を着るには少し抵抗がある方にもオススメです。
振袖を着るにはちょっと恥ずかしいという方で色留袖を着用する方もいらっしゃいます。
昔は、既婚女性が着るものという常識でしたが、最近は未婚の女性でも大丈夫となっているようです。
ルールとしては、黒留袖の時とほぼ同じで、帯や帯締め、帯揚げ、草履やバッグなどの小物は、金銀白のものを合わせます。
末広は必需品ではないですが、おめでたい席ですので、持参することをおすすめします。
また、花嫁と被るような、白や赤、金などの色は避けた方が無難です。
他にアクセサリーは髪飾りと指輪以外は、基本的にはつけません。
帯締めに通す、「帯どめ」は、結婚式の留袖には使いません。
上記以外に、黒留袖とは違う需要なルールがひとつだけあります。
それは、紋を入れる数です。
一番格式が高いのが五つ紋、そのあと三つ紋、一つ紋と続きます。
五つ紋の色留袖はもっとも格式が高く、親族が着るものです。
紋の数が多くなるほど格が高くなるので、友人、知人が五つ紋を着ることは、マナー違反となります。
友人、知人は三つ紋もしくは一つ紋で参加しましょう。
まとめ
・末広とは「祝儀扇」とも呼ばれ、祝儀の席であいさつを交わす時に使う
・黒留袖には末広は必需
・挿し方には4つのポイントがある
・末広で仰ぐのはNG
・結婚式には、親族は第一礼装である黒留袖、それ以外の既婚の女性は色留袖
若い女性なら振袖でもOK。
マナーを守り、美しい所作で末広を持っているだけで、一目置かれること間違いなしですよ。