私は以前、料理店でバイトをしていたことがありました。そのとき思ったこと。「厨房は戦場だ。」
途切れることなく敵の銃弾(注文)が飛び交う厨房。一瞬の気の緩みが命取り(ミス)になるくらい、油断ならない場所でした。
そんな戦場を顔色変えずに闊歩し、数多の敵(注文)に囲まれてもなぎ倒して行く(料理を出す)料理人は、私にとって戦国武将のようなものでした。
さて、今回はその料理人について取り上げていきます。「料理人に憧れてるけど、修行ってどのくらいする必要があるのか」気になっている人もいるのではないでしょうか?
そんな人のために、修行の流れと、修行する上で気をつけるべきポイントについて解説していきます。
※当ブログでは、以下記事も紹介しています。
<料理人の修行年数は?>修行の流れ
一般的な板前の場合、下のような持ち場を順々にこなしていくことになります。
「追いまわし」皿洗い、調理用具の準備、仕込み、盛り付け担当
「揚場(あげば)」揚げ物担当
「焼方(やきかた)」焼き物担当
「煮方(にかた)」煮物担当
「椀方(わんかた)」汁物担当
「次板(つぎいた)」副料理長
「花板(はないた)」料理長
それぞれの持ち場で経験を積むことで、調理法を身につけていくのですね。
大体1~2年ほど追い回しをやって、順調にいけば5年程度でほとんどの仕事をこなせるようになります。
<料理人の修行年数は?>雑用に意味を見出せるかが重要
最初の1年は包丁を持たせてもらえないことがほとんどです。ひたすら雑用をこなさなければなりません。下っ端なので、雑な扱いを受けることもあります。丁寧に調理を教えてもらえるなどと、期待はしない方がいいでしょうね。
そういった修行に対して「こんなことやって何の意味があるんだ!」と感じているようでは、たとえ10年修行しても成果が得られないかもしれません。
追い回しでも学ぶことはたくさんあります。
厨房の段取りを知ることで、将来独立したときにその知識を活かせます。
先輩の板前や料理長とのやりとりの中で上下関係を覚えることで、お客様への適切な対応や気配りができるようになります。
調理を教えてもらえなかったとしても、手順や動作を見て学ぶことはできます。
無意味に思える修行の中から意味を見出して、自分の成長に繋げられるような人であれば、うまく乗り越えられるでしょう。
<料理人の修行年数は?>修行に終わりはない
5年ほどで仕事をこなせるようになるとはいっても、一人前の料理人になれるとは限りません。どんな料理人も引退するまで技術を磨いているものです。
そして、修行が終わったからといって、独立して成功するとは限りません。「美味しい料理のお店」なんて世の中に溢れかえっていますから、それだけでは埋れてしまいます。
たくさんのお店がある中で、どんな独自性を身につけて他の店と差別化していくのか。その難問が待ち構えているのです。修行によって簡単にクリアできるわけではありません。
そういった点も踏まえて「どのくらい修行すれば良いのか」という問いに答えるならば、「引退するまで」と言うのが妥当かもしれませんね。
<料理人の修行年数は?>修行しなくても料理人になれる?
場合によっては、従来通りの修行をしなくても料理人になれることもあります。
たとえば、日本に馴染みのない海外で日本料理店を開業するなどして、料理人として生計を立てる場合がそうです。
日本で日本料理をやっても全く珍しくないですよね。でも国や地域によっては珍しいですから、料理の腕がそんなに高くなくても、アイディア次第で成功する可能性はあります。
その場合は、必ずしも修行が必要とは言い切れないでしょう。実際、ネットや動画サイトなんかで調理法を学んで、開業した人もいるくらいですから。
しかし、別の形での修行は必要になります。
独立・開業する人は、経営者としての手腕が求められます。開業しても、お客さんを集められないお店はバンバン潰れていっていますから。入れ替わりが激しいのが、この業界の特徴です。
仕入れ先を開拓したり、従業員を管理したり、効果的な集客をしたり……
ある意味、経営者としての手腕を磨くという”経営者修行”が必要になるでしょう。
まとめ
今回お伝えしたことをまとめると……
①追い回しは1~2年ほどで終わり、5年ほどで大体の持ち場をこなせる
②追い回しの修行に意味を見出せるかが重要
③引退するまで修行は続く
④独立するには経営者としての手腕を磨く必要がある
修行をどのくらいの期間で終えられるか、修行でどのくらいの成果が得られるかは、修行する人の意識にかかっています。厳しい世界ではありますが、「それでも料理人をやりたいんだ」という情熱が何よりも大切です。
あなたの情熱が、素晴らしい料理となり、誰かを幸せにする。そうなることを、応援しています!